Keiの感想帳

フリーランス翻訳者Keiです。日々、感じたことを書き留めていきます。

アンドレアス・グルスキー展@国立国際美術館

ドイツの現代写真家アンドレアス・グルスキー(1955~)展に行ってきました。

アンドレアス・グルスキーの写真を観たのは初めてでした。
鑑賞前の予備知識として興味を持ったのは、《ライン川 II》がクリスティーズのオークションで約433万ドル(日本円で約3億4千万円)で落札されたということ、そして、様々なデジタル加工を施して作品が仕上げられている、画面全体にピントが合っているように処理されているということでした。

実際に作品を見るとまず、俯瞰する位置から撮られた、一辺が2~3 m以上もある巨大な写真に圧倒されました。

被写体は、空港の電光掲示板、カミオカンデ、99セントの商品が並ぶスーパーマーケットの陳列棚、ファッションショーの舞台、四角い窓が並ぶ巨大なアパート、ベトナムの椅子工場、ツール・ド・フランスのレースコース、大聖堂のステンドグラス、南極、オーシャンなど。

一見、無機質に見える画面を見渡しているうちに、その中に小さく小さく写っている人間一人一人の姿に目が留まります。
工場の中、証券取引所の中、アパートやオフィスビルの窓の中に。
そして、F1のピットのメンテナンス作業を上から見下ろす観客、ファッションショーのステージを無表情に行き交うモデルの背景の観客。
99セントの商品が並ぶ陳列棚の間にいる客の中に仮面をかぶっている人も発見。

人が写ってはいるのですがあくまでも被写体の一部であって、画面全体の異様な空間の要素のように見えました。

面白かったです。

写真を使った画家とも言われるように、作品は抽象絵画のようなアート作品として高値で取引されているんだなぁ、と納得しました。

大阪の国立国際美術館で5月11日(日)まで。

カミオカンデ ≫

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2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏が考え出したニュートリノを検出するための装置、スーパーカミオカンデ。右下にボートに乗った人が写し込まれていることで、装置の巨大さに圧倒されるとともに、岐阜県飛騨市の地下1000mにこのような施設が実際に存在するのかと思うとなにかしら恐怖のようなものも感じます。